インフルエンザ
インフルエンザについて
インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって引き起こされる感染症で、主に上気道で炎症が生じます。
感染経路は飛沫感染であり、「手洗・うがい」や「マスクをつける」ことが予防につながります。
一般的には冬に流行(11月から翌年2月にかけてピーク)しますが、2023年には異例にも9月にインフルエンザが増加しており、今後は沖縄など亜熱帯地域のように雨季(6~10月)に感染が確認されることが起こるかもしれません。
インフルエンザの症状
インフルエンザは1~5日(平均3日間)の潜伏期を経て、下記のような全身症状や呼吸器症状が出現します。
- 発熱(38~39℃以上)
- 筋肉痛・関節痛
- 頭痛
- 倦怠感
- 咳・痰
- 鼻づまり・鼻水
- 咽頭痛
インフルエンザの検査・診断
インフルエンザはかぜ症候群と比べて急な高熱や全身症状が強いことが特徴的であり、地域の流行状況も踏まえ、確定診断目的に迅速抗原検査を行います(10~20分程度で結果が判明します)。
検査の結果、「陽性」であった場合はインフルエンザと診断できますが、「陰性」の場合でもインフルエンザは否定できません(偽陰性といいます)
発症から12時間以上経過して検査を行うと「偽陰性」の可能性は低くなりますが、それでも検査結果が「陰性」のインフルエンザの可能性は否定できないのです(インフルエンザ抗原検査の感度が約60%、特異度が約100%であることに由来します)。
迅速検査が「陰性」であったとしても、「学校やクラスで流行している」、「家族の中にインフルエンザの方がいて、同じ症状を認めている」などが当てはまる場合は、みなし陽性としてインフルエンザの治療薬を処方することがあります。
上記からはインフルエンザの検査は必要ないの?と思われるかもしれませんが、「COVID-19感染症」と「インフルエンザ」という2つの疾患は同じような症状を呈するため、治療に繋がる確定診断のためには検査が重要です。
ただし、注意すべき点は、「みなし陽性」としてインフルエンザの治療を行った方が抗インフルエンザ薬を内服しても症状が改善しない場合は、インフルエンザ以外の病気を考慮して精査する必要性があることです。
インフルエンザの治療
インフルエンザの治療で大切なのは、かぜ症候群もそうですが、「しっかり休み・眠ること」と「水分補給と食べられるものを摂取すること」です。
その上で、対症療法薬(解熱鎮痛剤や抗ヒスタミン薬など)を処方し、症状を緩和します。
また、症状の早期緩和や重症化を防ぐ目的で抗インフルエンザ薬を処方します。下記が処方例です。
- タミフル(オセルタミビル):75gm回(1日2回,5日間)(幼少児は1回2mg/kg)
- イナビル(ラニナミビル):40mg/回(1回だけ投与)(10歳未満は20mg)
- リレンザ(ザナミビル):10mg/回(1日2回,5日間)
- ゾフルーザ(バロキサビル):40mg/回(1回だけ投与)(20-40kgは20mg,10-20kgは10mg)
当院では成人には主にタミフルを処方し、10歳以上の未成年にはイナビルかリレンザを処方しています。
上記治療で通常1週間程度でインフルエンザは治癒しますが、高齢の方や慢性呼吸器疾患、心疾患、腎臓病、糖尿病、免疫不全などの基礎疾患を持つ方は肺炎を合併することがあるため、インフルエンザの治療で一旦症状が改善したが再度悪化した場合は、早めに受診することをおすすめします。