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尿蛋白陽性

尿蛋白とは?

子どもの頃の健康診断や職場の検診などで尿検査を経験したことがあると思いますが、その時に偶然尿蛋白を指摘されることがあります。
無症状の人も多く、詳細な検査をせずに経過をみてしまう方もいると思われますが、放置していると突然症状が出現、または再度検査した時には透析が必要な末期腎不全に至ってしまうことがあります。

尿蛋白の検査方法

健康診断や検診ではスクリーニング検査として試験紙法を用いますが、この検査は定性検査(陽性か陰性かを判定する検査)であり、尿蛋白陽性の場合は試験紙法に加えて定量検査(尿中に蛋白質量を測定する検査)を行います。

尿蛋白の検査方法

定性検査(試験紙法)
  • 尿蛋白を試験紙の色調で、-、+-、1+、2+、3+、4+の6つに分けます。
  • 数字が大きいほど尿蛋白の濃度が高いですが、尿の濃さの影響を受けます(例えば脱水だと高めに出ます)
  • 尿中のアルブミンを測定しているため、微量なアルブミンや分子量の小さい蛋白は測定できません。
  • 血尿(目で見てわかる)や造影剤の検査を行ったあとは、偽陽性になることがあります。
定量検査(随時尿での尿蛋白 / Cre比、24時間蓄尿)
  • 正確に尿蛋白の量を測定したい時に行います
  • 一般に「随時尿での尿蛋白 / Cre比」を測定しますが、より詳細な検査が必要な際は24時間蓄尿を行います。
  • 随時尿でのの尿蛋白 / Cre比は0.15以上で陽性、0.5以上だと腎臓専門医への紹介も考慮します。
  • 糖尿病性腎症の場合は、尿アルブミン / Cre比を測定します。

尿を採取するタイミングは、「早朝」をお願いしています。
一過性の尿蛋白や起立性尿蛋白を除外するためで、採尿コップと尿スピッツをお渡しするので、ご自宅で早朝に「中間尿」(尿の最初と終わりの部分を捨てて、その間の尿を採取)を採尿し提出してください。

尿蛋白の分類

尿蛋白は、生理的尿蛋白と病的尿蛋白に分類されます。

生理的尿蛋白

生理的尿蛋白とは、腎臓には異常はないが一時的に尿蛋白が見られてしまうことで、治療の必要はありません。

起立性尿蛋白(体位性蛋白尿)

学童~思春期のお子さんや、検診異常で30歳以下の男性に多い蛋白尿で、治療の必要はありません。
随時尿(早朝時以外で出される尿)で陽性(+)、早朝尿で陰性(-)となります。
腎機能障害はなく、腎血流の増加(運動後や立っていることが影響する)により起立しているときの尿採取で陽性となります。

一過性尿蛋白

脱水や運動後、発熱、射精後などが原因で一時的に尿蛋白が陽性(+)となることがあります。
尿蛋白が検出されるのは一時的で、数日後に再度検査を行うと陰性(-)となります。
若い人に多く、治療の必要性はありません。

病的尿蛋白

一過性尿蛋白などの生理的尿蛋白が除外され尿蛋白が陽性(+)の場合は、病的な尿蛋白が考えられます。

病的な尿蛋白の原因は様々ですが、「腎前性」、「腎性」、「腎後性」の3つに分けて考えることがあります。

病的尿蛋白の原因

腎前性

腎臓に流れる血液中の尿蛋白が異常に増加し、尿細管で再吸収できなくなった蛋白が尿に漏れ出ます。

多発性骨髄腫、横紋筋融解症、溶血など

腎性

糸球体の透過性が亢進(蛋白が漏れ出すこと)、尿細管で尿蛋白の再吸収が低下(尿から排出される)が生じます。

糸球体腎炎、糖尿病性腎症、腎硬化症、ルーブス腎炎、アミロイド腎、間質性腎炎など

腎後性

尿が腎臓を出た後、尿路(尿管・膀胱・尿道)で血液が病変がある場合

尿路感染症、尿路結石、腫瘍など

原因精査のために、尿検査だけではなく、血液検査(血算、蛋白質、腎機能、肝機能、電解質、免疫グロブリン、M蛋白、抗核抗体、ASLO、感染症など)を行い、画像検査(腹部CT、腹部エコー)も考慮します。
原因疾患に応じて治療や定期的な検査を行い、必要に応じて腎臓専門医へ紹介をします。
健康診断で尿蛋白を指摘された際などは、当院へご相談ください。

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