心房細動
心房細動とは
心臓は全身に血液を送り出すポンプの役割を担っており、4つの部屋、2つの心房(右心房と左心房)と2つの心室(右心室と左心室)で構成されています。
心臓が規則正しく動くためには、右心房に存在する洞房結節(ペースメーカー)から電気信号が発生し、心房→房室結節→ヒス束→左脚/右脚→プルキンエ線維へと電気が伝わり心室が興奮します。
心房細動は、洞房結節がうまく機能しなくなり、心房の様々なところで心房が興奮(小刻みに震える)してしまう不整脈を指します。
この震えによって心臓が全身に血液をうまく送り出すことができなくなり、動悸などの症状が出現、または脳梗塞の原因となる血栓を形成しやすくなります。
有病率は全人口の約1%ですが、加齢とともに頻度は増加し、特に70歳以上では急速に心房細動を有している方の割合が高くなります。
心房細動の症状
健康診断で心電図を測定してみたら心房細動だったという場合などを含め無症状の方もいますが、心房細動では下記のような症状を認めることがあります。
- 動悸(脈がとぶ)
- 倦怠感
- 息切れ
- めまい
- ふらつき
- 胸の痛み
心房細動検査・診断
心房細動と診断するためには、患者さんの脈をとって脈拍のリズムを確認した上で、心電図を測定し診断します。
診断は基本的に心電図で行いますが、心房細動をきたしやすい要因、例えば糖尿病や高血圧、甲状腺機能亢進症、睡眠時無呼吸症候群、心不全などの有無を確認するために、血液検査や胸部レントゲン、心エコー検査なども行います。
心房細動の治療
心房細動の治療は、「血栓塞栓症の予防」、「不整脈自体の治療」に分けられます。
血栓塞栓症の予防(脳梗塞の発症予防)
心房細動の治療で最も大切なのは、脳梗塞の発症を予防することです。
左心房で血栓(血の塊)ができてしまい、他の臓器へ飛んでしまうことで脳梗塞などの血栓塞栓症が生じます。
脳梗塞などの重篤な疾患が発症してしまうことを予防する目的で抗凝固療法を行いますが、下記の規準を用います。
血栓塞栓症予防の抗凝固療法としては、DOAC(経口直接トロンビン阻害薬)を用いることが多く、例えばエドキサバン(リクシアナ)やアピキサバン(エリキュース)を処方します。
ただし、僧帽弁狭窄症や人工弁置換術後(機械弁)の方については、従来通りワーファリンを処方します。
不整脈自体の治療
心房細動自体の治療としては、安静時の脈拍をコントロールし症状を抑えることが大事です。
安静時の脈拍の目安としては80~110/分が目安で、血圧や副作用等を踏まえながらではありますがβ遮断薬やCa拮抗薬を用いて脈拍をコントロールします。
心房細動は通常脈拍は早くなることが多いため脈拍を下げる薬剤を用いることが多いですが、高齢者の心房細動では徐脈をきたすことがあり、洞不全(洞房結節の機能が低下すること)に注意が必要です。
無症状や症状が軽度の場合は上記の治療で対応としますが、脈拍がコントロール出来ていても症状が持続している場合、心房細動に伴う頻脈によって心不全やバイタルに変動を来たしている際には、入院加療が必要な医療機関へ紹介とします。
