浮腫
浮腫(むくみ)とは
浮腫(むくみ)は、皮膚の下に余分な水分がたまる状態を言います。
血液の中には水分が含まれていますが、その水分が血管の外にしみだしてしまい生じます。
原因としては、塩分の摂りすぎ、運動不足、お酒の飲みすぎ、長時間の立ちっぱなし、心不全・腎機能の低下・肝機能の低下・甲状腺の異常、薬剤性などがあります。
足などのむくみはよく見られる症状ですが、上記のように原因は様々であり、いくつかの要素が重なって生じていることも多く、重大な病気が隠れていることもあります。
そのため、原因を特定し必要があれば治療に繋げていくことが大事です。
浮腫(むくみ)の原因
局所的な浮腫(むくみ)の原因疾患
慢性静脈不全(うっ滞性皮膚炎)
下肢静脈瘤の未治療例、膝の手術後、外傷後などが原因で表在静脈から深部静脈への血液の流れが悪くなり、むくみが生じます。
女性に多く年齢とともに増加し、50歳以上では両側性浮腫の原因で最も多いといわれています。
症状がない人もいますが、病気が進行すると脚の重だるさやむくみ・痛みが生じ、さらに症状が進むと、うっ滞性皮膚炎、色素沈着、潰瘍をつくることがあります。
治療は保存的治療が主体で、適正体重の維持、塩分制限、運動、弾性包帯・ストッキングなどを行います。
深部静脈血栓症
長時間乗り物(飛行機など)になっている時、病気やケガで寝ている時に起こしやすいと言われており、脚の静脈で血栓ができてしまう病気です。
片方の脚がむくみ、血流が悪くなることで色調が変化、痛みを伴うことがあり、脚の静脈でできた血栓が血流にのって肺で詰まってしまうと肺血栓塞栓症(一般的にエコノミー症候群と言われています)を発症することがありため注意が必要です。
蜂窩織炎
皮膚・皮下に細菌が侵入することで炎症を起こし腫れた状態です。
感染した場所は赤く腫れ、むくみ、熱を持ち、むくみが生じます。
糖尿病の人は免疫力が低下しているため蜂窩織炎を発症しやすいと言われており、足のケガや水虫などから細菌が侵入し蜂窩織炎になることもあります。
治療は抗菌薬の投与ですが、切開排膿しなければならないこともあります。
リンパ浮腫
リンパ管の中を流れているリンパ液が溜まってしまい、むくみが生じることをリンパ浮腫と言います。
靴が履きにくくなるなど夕方にかけて悪化することが多く、指で押しても痕が残らないむくみが特徴的です。
原因としては、がんの手術後(リンパ節切除)や放射線治療後などの二次性、原因がはっきりしない一次性(特発性)があります。
保存的加療(マッサージ、弾性ストッキング、運動療法など)が治療の中心ですが、効果が乏しければ手術加療を行うこともあります。
全身性の浮腫(むくみ)の原因疾患
心不全
心臓の機能が低下して、全身に十分な血液を送り出せない状態のことを心不全と言います。
心不全になると腎臓へ流れる血液の量が少なくなることで尿量が減り、水分が体内に貯留すると、むくみが生じます。
腎機能低下(腎不全・ネフローゼ症候群)
腎機能が低下すると、体内の余分な水分や塩分を排出できずにむくみが生じます。
また、ネフローゼ症候群を呈すると、尿に大量のタンパク質が漏れ出すことで血液の中のタンパク質が減少し、むくみが起こります。
肝機能低下(肝不全)
肝臓は胃や腸で吸収された栄養素をタンパク質へ合成し、その中にアルブミンがあります。
肝機能が低下するとアルブミンの量が少なくなり低アルブミン血症をきたすことで、むくみが起きます。
薬剤性
全身症状がない40代以降の下肢のむくみの原因として、薬剤性が考えられます。
特にカルシウム拮抗薬(特にアムロジピン)が多いと言われていて、他にはNSAIDs、ステロイド薬、プレガバリン(リリカ)、抗精神病薬などがむくみの原因となります。
甲状腺機能異常
甲状腺機能が亢進または低下しても、むくみが起こります。
指で押しても痕が残らないことが特徴的で、血液検査で診断します。
低アルブミン血症
低アルブミン血症を生じる状態、低栄養やネフローゼ症候群、蛋白漏出性胃腸症などが原因でむくみが起きます。