溶連菌性咽頭炎・扁桃炎
溶連菌とは
溶連菌は細菌の一種で溶血性連鎖球菌と言いますが、咽頭炎・扁桃炎の原因となる主な菌種はStreptococcus pyogenes(A群β連鎖球菌)です。
溶連菌は健康な人の咽頭や皮膚に常在菌としていますが、のどや傷口に侵入して感染し様々な疾患を生じ、咽頭や扁桃から感染したものを溶連菌性咽頭炎・扁桃炎といいます。
溶連菌性咽頭炎・扁桃炎の症状
溶連菌に感染した人が咳や会話としたときに口から菌が飛び、周りの人が吸い込むことによって感染が引き起こされます(飛沫感染)。
飛沫感染以外にも、接触感染(感染者と直接触れる、または菌が付いた物を触る)します。
潜伏期間は2~5日程度で、その後症状が生じます。症状の特徴は下記です。
- のどの痛み
- のど・扁桃腺の腫れ、赤み、白い付着物
- 発熱(38度以上)
- 全身のだるさ
- 首のリンパ節の腫れ
- かぜ症候群に見られやすい咳、鼻水、鼻づまり等の症状があまりない
その他の症状として、発疹を認めることもあります。
また、溶連菌性咽頭炎・扁桃炎は伝染性単核球症(サイトメガロウイルスやEBウイルスが原因で発症する疾患)と区別しづらいことがありますが、経過や症状の持続期間などで判断します。
溶連菌の検査・治療
溶連菌の検査は、のどを綿棒でこすって迅速抗原検査を行います。
診察日当日に検査が可能で、10~15分程度で検査結果が確認できます。
溶連菌性咽頭炎・扁桃炎の治療は、抗生物質を使用します。
第一選択薬はペニシリン系抗生物質(サワシリン、ワイドシリン)ですが、セフェム系の抗生剤(セファレキシン、セファクロル)やマクロライド系(エリスロマイシン、クラリスロマイシン)を使うこともあります。
抗生剤の内服期間は10日間としていますが、これは合併症(リウマチ熱や急性糸球体腎炎)を予防するためです。
溶連菌に感染した場合、登校や出勤は?
溶連菌は感染力が強い菌であり、他のヒトへ感染する可能性があるため学校や会社は休んでください。
抗生物質を飲んで24時間以上経過すれば感染力が低下するため症状が落ち着いていれば登校・出勤は可能ですが、抗生物質をしっかり飲み切ることが大事です。
また、溶連菌感から2-3週間程度経過した後に急性糸球体腎炎を発症することがあります。
倦怠感・むくみ・血尿や尿量の減少といった症状を認めた場合は、早めに受診して下さい。
好発年齢は小児(3~12歳)ですが、成人でも発症することがあります。