認知症(物忘れ)
物忘れとは
年齢を重ねると脳の機能が老化することに伴い、物忘れが出てくることがあります。60歳頃になると記憶力とともに判断力の衰えもみられ物忘れが多くなり、「歳をとるとみんな認知症になるのか?」と不安を感じられるかもしれません。
65歳以上の15%以上、85歳以上の4割以上は認知症と診断されており、高齢化に伴い認知症は今後も増えていくと予想されてはいますが、「加齢による生理的な物忘れ」と「病的な物忘れ(認知症)」は異なるものであり、認知症を早期に発見して生活習慣の改善や治療に繋げていくことが大事です。
「加齢による生理的な物忘れ」と「病的な物忘れ(認知症)」の違い
加齢による物忘れ
- 経験の一部を忘れる
- 食事をしたことは覚えているが、何を食べたかを忘れる
- 物忘れの自覚があり、ヒントがあれば思い出せる
- 判断力や理解力は問題ない
- 日付や曜日はわかる
- 意欲は保たれている
- 物忘れは進行しない
認知症による物忘れ
- 経験の全体を忘れる
- 食事したこと自体を忘れてしまう
- 物忘れの自覚がない
- 判断力や理解力が低下し、順序だてて行動できない
- 日付や曜日がわからない
- やる気が低下し、何事にも億劫になる
- 物忘れが進行する
加齢による物忘れだと、例えば「約束したことは覚えているが、日付をおぼえていない」など一部の経験を忘れてはいますが、物忘れに対しての自覚はあります。
認知症によるも物忘れだと、例えば「約束したこと自体を忘れてしまう」など経験したこと自体を忘れてしまいます。
これは認知症による物忘れかな?と疑問に思った場合は、一度相談にいらして下さい。
早めに診察、検査、診断をすることで認知症が進むことを遅らせ、日常生活の工夫で改善できることもあるからです。
認知症の検査
物忘れがある場合、まずは診察を行い本人だけではなくご家族からも話を伺います。
そのあとに
- HDS-R(長谷川式簡易知能評価スケール改訂版)(必要に応じてMMSE)
- 血液検査など
- 画像検査(頭部CT検査、頭部MRI検査、SPECT検査)
(1)と(2)を行い、必要性に応じて(3)を検討します。
認知症の診断と治療方針
行った検査結果と問診を踏まえ、認知症の診断をします。
認知症の原因となる疾患は様々で、患者数が最も多いアルツハイマー型認知症を含めた変性性認知症(レヴィ―小体型認知症、前頭葉側頭葉型認知症)、血管性認知症(脳梗塞などが原因)、甲状腺機能低下症、ビタミン不足、慢性硬膜下血腫などがあります。また、認知症ではなく実は「老年性うつ病」であったというケースもあります。
病気によって対応は異なるため、それぞれの疾患に応じた治療(内服治療や生活指導)を行います。