赤血球数の減少(貧血)
貧血とは
貧血は、「血液中の赤血球に含まれるヘモグロビン(Hb)の濃度が、基準値以下に低下した状態」です。
赤血球は酸素を全身へ運ぶ役割をしていますが、貧血が進むと身体の酸素が不足し、脳の酸欠状態(頭痛やめまい、ふらつき)、疲労感や倦怠感、息切れや動悸などの症状が起きます。
貧血の基準は、下記で定義されています。
分類 | ヘモグロビン濃度(g/dL) |
---|---|
成人男性 | 13.0g/dL未満 |
成人女性/小児(6~14歳) | 12.0g/dL未満 |
妊婦 | 11.0g/dL未満 |
厚生労働省が発表している「令和元年 国民健康・栄養調査」の結果からは、男性の10.8%、女性の13.5%が貧血であり、特に30代の女性では18.2%、70歳以上の方では約20%、5人に1人の割合で貧血であることがわかります。
貧血の原因
貧血の原因としては鉄欠乏性貧血が最多ではありますが、それ以外にも原因は多岐にわたります。
「赤血球を作る能力の低下が原因」、「赤血球の破壊の亢進(溶血)」、「赤血球の喪失(出血)」の3つに大きく分類されます。
赤血球を作る能力の低下が原因
造血幹細胞(白血球や赤血球などの細胞の基となる細胞)の異常やその周辺環境、または造血に必要な因子の異常が原因で、赤血球を産生する力が低下します。
下記が主な原因疾患です。
- 鉄欠乏性貧血
- 慢性炎症性疾患に伴う貧血(ACD)
- ビタミンB12・葉酸の欠乏
- 亜鉛・銅の欠乏
- 腎性貧血
- 甲状腺機能異常
- アルコール多飲
- 低栄養
- 造血器腫瘍(白血病、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫など)
- 再生不良性貧血・赤芽球癆
- 固形癌の骨髄浸潤
赤血球の破壊の亢進(溶血)
骨髄で赤血球を産生することはできるのですが、赤血球の膜や構造の異常、赤血球に刺激が加わることなどが原因で赤血球が破壊され、貧血が生じます。
- 遺伝性球状赤血球症
- 発作性夜間ヘモグロビン尿症
- 自己免疫性溶血性貧血
- 薬剤性
- 脾腫
赤血球の喪失(出血)
出血で貧血を来たすことがあり、頻度としては消化管出血や性器出血(月経など)が多いです。
貧血の検査
貧血の原因を調べる場合、「年齢」、「性別」、「自覚症状の有無」、「薬剤」、「現在治療中の疾患」、「既往歴」、「生活歴(飲酒や喫煙)」などを問診で確認した上で、必要な検査を行います。
主には血液検査ですが、その項目は「血算」、「鉄代謝」、「CRPなどの炎症反応」、「ビタミンB12・葉酸」、「亜鉛や銅」、「甲状腺」、「エリスロポエチン」、「腎機能」、「肝機能」などがあります。
また、血液を産生する組織である骨髄の異常が疑われた場合に関しては、骨髄検査が必要となりますので専門の医療機関へ紹介とします。