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高尿酸血症

高尿酸血症とは

高尿酸血症は血液中の尿酸が多い状態のことをいい、血液中の尿酸値が7.0mg/dLを超えると高尿酸血症と診断されます。細胞の核に含まれるDNAの主成分の1つにプリン体があり、そのプリン体が不要となってできた老廃物が尿酸です。
尿酸値が高いだけでは自覚症状はありませんが、進行すると結晶となった尿酸が関節・足先や耳たぶなどにたまり、その部分に炎症が起きることで激痛の痛風発作が生じます。また、腎結石・尿路結石の原因となり、メタボリックシンドロームや心血管障害との関連が深いことも知られています。
頻度は圧倒的に男性が多く、成人男性の約20%が高尿酸血症といわれており、最も多い30代男性では30%に達していると推定されています。女性は女性ホルモンの分泌が低下する閉経後にやや増加するといわれていますが、高尿酸血症の頻度は高くありません。

原因

高尿酸血症は、遺伝的要因と食べ過ぎや肥満、飲酒などが重なって発症します。

  1. 遺伝的要因:糖原病Ⅰ型、Lesch-Nyhan症候群など(頻度は低い)
  2. 環境要因
    • 生産過剰型:悪性腫瘍、多血症、甲状腺機能低下症、尋常性乾癬など
    • 排泄低下型:慢性腎臓病、脱水症、利尿薬など
    • 混合型:肥満、飲酒、妊娠高血圧症候群など

原因として遺伝性は稀で、甲状腺機能低下症や慢性腎臓病、薬剤が原因のこともありますが、飲酒や肥満など生活習慣の乱れによるものが大半を占めます。

治療

生活習慣の改善

尿酸値を下げるために最も大事なことは、生活習慣の改善です。

生活習慣の目標
  1. プリン体の摂取量を減らす
    プリン体が多い食品の代表例:
    レバー(鶏・豚・牛)、白子、あんこう、干物(魚・しいたけ)、かつお節、カツオ、イワシ
  2. アルコール摂取を控える(特にビールの飲みすぎ)
  3. 果糖(ソフトドリンクなど)の摂取を制限し、水をよく飲む
  4. 肥満があれば体重を減らす
  5. 適度な運動をする

プリン体の多い食品であるレバーや白子などは控え、飲酒する際はプリン体が多いビールではなく、プリン体が少ないワインや焼酎がいいと思われます(過度な飲酒は禁物です)。
ソフトドリンクやお菓子に多く含まれる果糖を控え、適度に運動する習慣を身につけることが大事です。

薬物治療

生活習慣を改善しても尿酸値が下がらない、これまでに痛風発作がある場合、併存疾患として慢性腎臓病を有している際には薬物療法の適応があります。
下記は当院で処方する薬剤の一例です。

  種類 製品名 ジェネリック
尿酸降下薬 尿酸生成抑制薬 フェブリク
ザイロリック
フェブキソスタット
アロプリノール
尿酸排泄促進薬 ユリノーム
ユリス
ベンズブロマロン
痛風発作時使用薬 NSAIDs ロキソニン
ナイキサン
ロキソプロフェンNa
痛風発作観寛解・予防薬 コルヒチン
副腎皮質ステロイド ブレドニン プレドニゾロン

尿酸値が高い場合、まずは尿酸降下薬(フェブリクやザイロリック)を使用することが多く、少量から開始して徐々に増量します。最大量へ増やしても尿酸値が改善しないときは、同じ種類の他の薬剤に変更または尿酸排泄促進薬を追加することがあります。尿酸排泄促進薬使用中は尿路結石の出現に注意が必要です。
高血圧で利尿薬(サイアザイド系)を内服しているときは、他の降圧薬(Ca拮抗薬など)へ変更を考慮します。

痛風発作時の治療は、NSAIDs、コルヒチン、ステロイドを使用します。
「痛風発作の前兆」(突然の激痛、主に足の親指の付け根の痛み、局所の熱や赤み・腫れなど)があった場合はコルヒチンを内服し、発作の痛みが激しい際にはNSAID、コルヒチン、ステロイドを各々の患者さんの状態に応じて使用します。
これまでは痛風発作中に尿酸降下薬を開始することは勧められていませんでしたが、痛風発作中に尿酸降下薬を開始しても発作の増悪や遷延に繋がらないという報告が出ており、痛風発作中でも尿酸降下薬を開始することがあります。

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