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高血圧

高血圧とは

高血圧は、「上の血圧が140mmHg以上、下の血圧が90mmHg以上」のときをいいます。
7つある国民病の1つで、日本では40歳以上の2人に1人が高血圧といわれていますが、健康診断で指摘されても症状に気づきにくく、多くの人が放置してしまっています。
高血圧が長く続くと、動脈硬化が進み、血流が悪くなったり血管が硬くなったりすることで、心筋梗塞や脳梗塞などの生命にかかわる病気のリスクが増えます。
高血圧と診断されたからといって、すぐに大きな病気にかかるわけではありません。まずは当院へご相談ください。
症状や生活習慣などを踏まえ、適切な治療を提供します。

血圧の測定方法

高血圧かどうかを知ること、治療していくためには家庭内で血圧を測定することはとても重要です。

起床後1時間以内に測定する
(排尿後または朝食前に1~2分座ったあと)
寝る前に1~2分座ったあと

1日2回朝と夜に血圧を測り、その平均をその日の血圧の値とします。
高血圧をしっかり治療していくことはもちろんですが
「白衣高血圧(診察中は高血圧だが、家庭では正常な血圧)」 「仮面高血圧(診察中は正常な血圧だが、家庭では血圧が高いこと)」 がないかどうか確認するためにも大事です。
なぜなら、「白衣高血圧」は、持続性高血圧(つねに血圧が高い状態)に移行するリスクが高く、脳・心血管イベントリスクが正常な血圧の人よりも高いためです。
また、「仮面高血圧」も脳・心血管イベントリスクが持続性高血圧と同じように高いといわれています。
血圧手帳や血圧アプリでも構わないですので、可能な範囲で家庭での血圧測定をお願いしています。

高血圧の原因

高血圧の原因は大きく2つに分けることができ、本態性高血圧と二次性高血圧があります。

  本態性高血圧 二次性高血圧
原因 □はっきりとした原因は不明
□生活習慣(塩分過多、飲酒、運動不足、ストレス、肥満)や遺伝の影響で起こることが多い
□腎臓や内分泌(甲状腺や副腎など)の病気、その他疾患がり、それらが原因で高血圧を起こす

高血圧の約90%は本態性高血圧で、二次性高血圧は5-10%と推定されています。
ほとんどの人が本態性高血圧ですが、30歳以下での発症、治療抵抗性、急激な血圧変動、低K血症を伴っている場合などは二次性高血圧の可能性があるため精査が必要となります。

高血圧の治療の基準

対象 目標血圧
75歳未満
糖尿病
慢性腎臓病(尿蛋白陽性)
冠動脈疾患
脳血管障害(両側頸動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞なし)
抗血栓薬内服中
130/80mmHg未満
75歳以上
慢性腎臓病(尿蛋白なし)
脳血管障害(両側頸動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞あり、または未評価)
140/80mmHg未満

血圧を下げる目標は年齢や他の病気の有無で変わりますので、来院の際には他に治療中の病気がないか、以前治療していた病気があればお教えください。

高血圧の治療

高血圧の治療は、「生活習慣の見直し」と「薬物療法」があります。

生活習慣の見直し

生活習慣の修正・目標

  1. 塩分制限:6g/日未満
  2. 食物:野菜・果物・魚を摂取する
    飽和脂肪酸(動物性の脂肪、バターなどの乳製品、お菓子など)を控える
    不飽和脂肪酸(魚油、オリーブオイル、アマニ油)を多くとる
  3. 体重:BMI 25未満
  4. 運動:ややきついと感じる運動(有酸素運動)を1日30分以上
  5. 節酒:エタノールとして、男性は20-30mL/日以下、女性は10-20mL/日以下
    (例:男性で1日おおよそ日本酒1合(180mL)、ビール500mL、焼酎0.5合、ワイン180mL)
  6. 禁煙:

生活習慣を見直すことは、すべての高血圧の人にとって大切で、高血圧の予防にもなります。
日本人は他の国と比較して塩分摂取量が多いといわれていて、しょうゆや味噌などの伝統的な調味料や漬物、昔ながらの加工食品など食塩を多く摂る食生活が根付いていることに基づいていると思われます。
自宅で減塩を心掛けることに加えて、買い物に行った際には食品の成分表示を見てみることをお勧めします。

薬物療法

生活習慣を見直しても血圧が高い場合、血圧が高度に高い場合は下記を例とした降圧薬を開始します。

種類 製品名 ジェネリック 特徴
Ca拮抗薬 アムロジン
アダラート
アムロジピン
ニフェジピン
□強力な降圧作用を認め、第一選択薬で使うことが多い
□浮腫の副作用に注意が必要
ACE阻害薬
(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)
レニベース エナラプリル □蛋白尿を有する慢性腎臓病、心不全や心筋梗塞後の合併症がある場合の第一選択薬として使うことが多い
□腎機能低下や高K血症の副作用が多い
ARB
(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)
オルメテック
アジルバ

オルメサルタン

同上
サイアザイド系利尿薬 フルイトラン
ナトリックス
トリクロルメチアジド
□食塩感受性高血圧(食塩の影響を受けやすい高血圧)に対して効果が高い
□低K血症、低Na血症には注意が必要
β遮断薬 メインテート
ビソノテープ
ビンプロロールフマル酸塩 □左室駆出率が低下した心不全に対して有効
□一部薬剤を除いて喘息悪化させ、徐脈の副作用あり
ミネラルコルチコイド アルダクトンA
セララ
スピロノラクトン

□治療抵抗性の高血圧に有効、低K血症を抑制する
□高K血症、女性化乳房の副作用がある

ARNI
(アンジオテンシン受容体ネブリライシン阻害薬)
エンレスト □高血圧だけでなく、心不全の治療にも用いられる
□ACE阻害薬/ARBから切替、第一選択薬として使わない

薬剤の違いよりも血圧を下げること自体の効果が高いため、まずは薬剤を開始することが大事です。
そのうえで例えば、蛋白尿を有する慢性腎臓病ではACE阻害薬やARBを優先した方が血圧だけでなく腎臓を保護することもできるため、他の病気を持っているかどうかで選択する薬剤は変わってきます。
血圧を下げる薬は1剤の量を増やすよりも2~3剤を組み合わせた方が効果は高くなりますが、サイアザイド系利尿薬を加えた3剤で治療しても血圧が下がらない場合は二次性高血圧症の疑いが強くなります。
しかしながら、本当に治療抵抗性なことは稀なため、まずはしっかり内服できているか、薬が原因で血圧が上昇していないか、食塩を摂りすぎていないか、過剰な飲酒、運動不足などがないかをまずは確認します。
降圧薬を開始したからといって一生薬を飲み続けないといけないわけではないので、生活習慣の改善と内服治療を行いながら、なるべく薬を飲まなくてよい状態にしていきましょう。

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