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白血球数の増加(白血球が多い)

白血球について

健康診断を受けたときに、白血球、WBC(White Blood Cell)という項目を見たことはないでしょうか。

白血球数の正常範囲は3500~9000/μLとすることが多いですが、これ以上白血球が多い場合に「白血球増加症」といいます。

白血球数には生理的な変動や個人差があり、正常範囲から少し外れていたとしても特に問題ない場合がほとんどですが、何らかの病気が隠れている場合もあります(かく言う私は白血球数が正常範囲より少し低いですが、特に問題なく長年その状態で推移しています)。

 

白血球にはいくつか種類があり、好中球、好酸球、好塩基球、単球、リンパ球があります。また異常な状態では、幼弱な骨髄球系の細胞、芽球(いわゆる白血病の細胞)を認めることがあります。

白血球数が正常範囲から外れていた場合、上記5つのどの白血球が増加しているのかを血液検査で測定し、原因を精査していきます。

好中球増加症

好中球は、貪食作用(体内に侵入した細菌や真菌などの病原体を食べる)を持ち、感染症から体を守る重要な役割を担っています。

血液検査の項目では、「Neut(Stab,Seg)」と表示されることが多いです。

好中球が増加している場合、下記の原因が考えられます。

  • 喫煙
  • ストレス(運動後、手術後など)
  • 感染症(特に細菌感染)
  • 慢性炎症(膠原病や気管支拡張症など)
  • 薬剤性(ステロイドなど)
  • 血液疾患(白血病、骨髄増殖性腫瘍、骨髄線維症など)
  • 固形腫瘍(肺癌など)
  • 先天性(Down症候群など)

好中球増加症の多くが、生理的や個人差、喫煙やストレス、感染症が原因となりますが、重篤な病気が隠れていることもあります。

好酸球増多症

好酸球は、寄生虫から体を守り、アレルギー反応を制御する役割を担っています。

血液検査の項目では、「Eosino(Eos)」と表記され、好酸球数が500/μL以上で好酸球の増加と定義します。

好酸球が増加している場合、下記の原因が考えられます。

  • アレルギー性(気管支喘息、アレルギー性鼻炎/皮膚炎、薬剤性、血管炎、サルコイドーシスなど)
  • 感染症(寄生虫感染、肺アスペルギルス症)
  • 消化器疾患(好酸球性胃腸炎、潰瘍性大腸炎、アレルギー性胃腸炎)
  • 血液悪性腫瘍(慢性好酸球性白血病、急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群など)
  • その他(甲状腺機能亢進症、HES(好酸球増多症候群)など)

 

頻度が高いのは、薬剤性、気管支喘息、アレルギー性鼻炎・皮膚炎などのアレルギーです。抗菌薬、抗てんかん薬、NSAIDsなど好酸球増多を来たしやすい薬剤を内服している場合は、まずは疑われる薬剤を中止します。その上で、アレルギー疾患の有無、住居環境、季節性、食物との関連などを確認しながら、血液検査を定期的に行い、好酸球数の推移や症状の有無をみていきます。

多くの方の場合は好酸球数が500~2000/μL、軽度から中等度の好酸球上昇に留まりますが、5000/μL以上と高度に好酸球が増加することがあります。肺などへの臓器障害が疑われる場合は画像検査を行いますが、臓器障害に伴う症状が強くすぐに治療を行った方がいい場合は、入院加療が可能な医療機関へ紹介とします。

好塩基球増多症

好塩基球は、アレルギー反応に関与しヒスタミン顆粒を分泌します。

血液検査の項目では、「Baso」と表記され、好塩基球数200/μL以上を好塩基球の増加といいます。

好塩基球増多を来たすことは、稀です。慢性骨髄性白血病(CML)で好酸球増加や白血球増加に伴い好塩基球が増加、または甲状腺機能低下症で認めることがあります。

また、極めて稀ですが急性骨髄性白血病の一種で急性好塩基球性白血病では、好塩基球が著明に増加します(私自身はこれまで1症例しか経験したことはありません)。

リンパ球の増加

リンパ球は、細菌やウイルスなどの病原体に感染した細胞を攻撃し、病原体に対する抗体を産生するなど様々な役割を担っています。

血液検査の項目では、「Lympho」と表記され、成人では4000/μL以上をリンパ球の増加といいます。

リンパ球は主にウイルス感染で上昇しますが、伝染性単核球症(EBVやCMVの初感染が主な原因)の場合は高度にリンパ球が上昇し、異型リンパ球も認めます。また、百日咳でもリンパ球が増加することがあります。

腫瘍性疾患では、白血病、成人T細胞白血病・リンパ腫(ATLL)で異常リンパ球を認めます。

単球の増加

単球は、細菌などの異物を取り込み消化し、異物の一部を細胞の表面に提示することでリンパ球の一種であるT細胞が活性化します。

血液検査の項目では、「Mono」と表記されます。白血球全体の3~8%を占め、増加と判断する定義は明確ではありませんが、800/μL以上などで増加と判断されます。

単球は細菌感染や結核、梅毒感染時に増加しますが、それ以外にもサルコイドーシスや潰瘍性大腸炎でも増加します。また、腫瘍性疾患では、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄異形成症候群(MDS)、急性骨髄性白血病などでも見られます。

 

 

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